画素数が多ければいいってもんじゃない  
まやかしの画素数に騙されるな!

画素数は多いに越したことはない

いきなりタイトルと食い違うようだが、デジカメで撮影できる画素数は多ければ多いに越したことはないのである。 但し、あくまで原則としてである。 画素数が多い方が良いという観点での話は、"できるだけ多くの画素数で撮影すべし"に書くので、そちらをご覧頂きたい。

しかし目前の現実はタイトル通り、画素数が多ければいいってもんじゃないのである。 この話にはいくつかポイントがある。 ひとつひとつ見ていくことにしよう。

受光素子の大雑把な話 (読み飛ばし可)

デジカメの場合、普通のカメラのフィルムに当たるのが受光素子である。 撮像素子と書いてある場合も多いかもしれない。 現在、おもちゃデジカメを除くすべての民生機には、受光素子にCCDが使われている。 このCCDのサイズは、2/3インチ、1/2インチ、1/2.7インチなどと表記され、これは部品としてのCCD全体の対角の長さを示している。

そのコンパクトカメラのフィルムより小さな面積の中に、211万画素CCDならばその数だけの受光素子が並んでいるのである。 そして、ひとつひとつの受光素子が感知した光が、様々加工された末に画像データのひとつひとつのピクセルになる。

ここで、CCD内の受光素子ひとつ分の大きさは非常に小さく、ミクロンの単位である。 そこで、ひとつの受光素子のサイズをあまり小さくし過ぎると、様々な弊害が生じる原因となる。 よく指摘されるのは、熱に起因するノイズと光の回折現象の悪影響、そしてダイナミックレンジが狭くなるということも言われている。

光の回折現象については私も疑問があるのだが、素子や回路があまりに小さくなると、ノイズの影響が相対的に大きくなるのは明らかである。

またダイナミックレンジというのは、どの程度の幅の明暗差を最終的な画像データに表現できるかという観点で、これは光を感知してから画像データになるまでの過程に関わるため話はそう単純ではない筈である。 そのため、受光素子に蓄えられる容量が小さくなればダイナミックレンジに影響する筈だという感覚的理解に私も留まっている。

300万画素機の受光素子の面積の話

2000年になって登場して来た民生用300万画素機だが、受光素子ひとつひとつのサイズを計算してみる。 CCDのサイズ表記は受光部以外も含んでいるとも言われ、所詮厳密な計算ではないが、ここでは例としてベストセラー機の OLYMPUS C-3030Z および従来機の C-2020Z の場合を考えてみる。

C-3030Z では、1/1.8インチ334万画素CCDが使用されている。 CCDに並んでいる受光素子の縦横比率はわからないが、4:3程度の長方形であると仮定すると、2112 列×1584 行が、11.3 mm×8.5 mm の長方形の中に並んでいるという計算になる。 これを割算すると、受光素子の間隔は 0.00535 mm 前後という具合になる。

C-2020Z では、1/2インチ211万画素CCDが使用されている。 C-3030Z の場合と同様に計算すると、1680 列×1260 行が、10.2 mm×7.6 mm の長方形の中に並んでいるという計算で、更に割算すると、受光素子の間隔は 0.00605 mm 前後という具合になる。

即ち、CCD全体の大きさは300万画素機の C-3030Z の方が大きいが、画素あたりの受光面積は200万画素機の C-2020Z 方が2割強広いわけである。 この単純計算では、受光素子の間隔をそのまま受光面積として計算しているが、実際には受光部は更にその一部と考えられるので、実際の受光面積の差はもっと大きい筈だ。

CCDのサイズとデジカメ選びの話

これは、C-3030Z に限った話ではない。 現在(2000年6月)民生用に発売されている300万画素機は、それ以前の200万画素機と較べて、いずれもこのような計算になるのである。

そのようなわけで、熱に起因するノイズ、光の回折現象の悪影響、狭いダイナミックレンジの懸念から、300万画素機に否定的なデジカメ通も多い。 また最近、次々に登場している1/2.7インチ211万画素CCD採用のデジカメは画素あたりの面積が更に小さく、この点については300万画素機以上に問題を抱えている。

しかし実際には画質はCCDだけで決まるわけではなく、また最新の300万画素機は新しい分だけ従来機種より優れている面も多く、その優劣は一概には言えない。 また、機種によっても事情は様々だ。

しかし、画素あたりの受光面積が減った悪影響が、該当するすべての民生用機種で認められるという人もあり、ユーザ毎、機種毎に、その画質あるいはその手の無理から生じる扱い難さを許容できるのか?という面を自ら判断するしかないのだ。

その時、画素あたりの受光素子の面積が狭い機種はその悪影響から逃れ難いのは確かで、単純に画素数の多いデジカメを高画質と信じ込むのではなく、この点もあわせて考えることも必要となるのである。

画素数水増し機 FinePix4700Z の話

他のメーカーが最新大画素数の300万画素機を次々リリースする中、いきなり400万画素を謳って登場した機種がある。 FUJIFILM の FinePix4700Z だ。 但し、現在 FinePix4700Z は400万画素機を謳っていない。 西ドイツで訴えられたなどのニュースが伝えられた後、広告からも箱からも400万画素機の表記は姿を消した。

それ以前から FUJIFILM は、スーパーCCDハニカムなるものを開発したとのニュースリリースを行い、その新技術のためにダイナミックレンジなどの面で従来型のCCDより大幅に有利だと謳っていた。 そのスーパーCCDハニカムを最初に搭載したデジカメが FinePix4700Z なのだが、その時点ではCCDの本当の画素数は公開されていなかった。 しかし本当は240万画素CCDだったのである。

私は個人的には、スーパーCCDハニカム技術なるもの自体が眉唾だと思っているのだが、そう断定できる程の情報を得ているのではないのでその点は置くが、FUJIFILM がスーパーCCDハニカムの優位性を謳う解説に、私はまったく納得できなかった。

しかし、240万画素CCD搭載機を、432万画素機として販売した行為は詐欺行為以外の何物でもない。 240万画素から得られる情報は、240万画素分の情報でしかないのである。 画像ファイルへの出力画素数だけを大きくしてみても、ファイルが大きくなって扱いにくくなるだけである。

FinePix4700Z に絡めての補間の話 (読み飛ばし可)

ここまで断定すると、そうじゃないという異論が生じ得るので、その点も一応書いておく。 補間という話題なのだが、デジカメや画像を扱うと、時々補間という言葉に出くわすことになる。 読んで字のごとく、すき間を補う処理のことで、たとえばパソコンで画像を拡大する場合に、大きくした分の隙間を埋めるために補間処理が行われるものだ。 また、補間処理方式にも種類がある。

補間について深入りはしないが、民生用デジカメならば FinePix4700Z に限らず、補間処理が行われている。 但し特殊な処理を別とすれば、たとえば200万画素CCDから得られた情報から、200万画素の画像データを作成するための補間処理である。 意味不明かもしれないが、その点については"できるだけ多くの画素数で撮影すべし"で触れる。

一方、CCDには200万画素程度しかないのに、その倍の画素があることにして、その間を補間してしまったのが FinePix4700Z なのである。

たしかに、デジカメなら、画像ファイルにする以前の生の情報から補間を行えるので、処理さえ適正であれば、パソコンで画像を拡大するよりも有利であるという言い方は出来る。 しかしそれは、なにがなんでも432万画素分のデータが必要だという場合のことで、余分の200万画素分の情報のほとんどは水増しである。

実際、そういう処理を組み込んでいるデジカメは他メーカーにもある。 しかし、それらはCCD画素数の画像データを作成するのを標準として、印刷時に少しでも有利になるようにと、オプショナルな選択肢として補間処理による大画像も設けているに過ぎない。 ましてや、CCDの本当の画素数を隠して、水増し画素数だけを前面に押し出したりはしない。

なお、FinePix4700Z などどうでも良いが、このデジカメは、水増し432万画素データがいやな場合、その次に選択できる画像の大きさは 1280×960 ピクセルの約120万画素である。 この辺がまさにスーパーCCDハニカムの構造そのものだと思うのだが、この機種は発色や高速性では評価が高く、120万画素機として考え価格を無視するならば、悪くないデジカメかもしれない。 もっとも私には、使用時に何も良いことがない縦型は許せない。

有効画素数の話

こんな文章をここまで読んで来ている人ならば、有効画素数という言葉をどこかで見た覚えがあるだろう。 たとえば、OLYMPUS C-2100 Ultra Zoom や C-2000Z ならば、総画素数211万画素、有効画素数202万画素といった具合である。

これは、CCDの受光素子は211万個あるけれど、そのうち使用しているのは202万個だけだという意味だろうと思われるが、正確な定義があるとは聞いたことはない。 というのは、少々計算が合わないような気もするわけである。 記録する画像の最大サイズは 1600×1200=192万なので、有効画素数は192万画素で、10万画素ばかり違うのではないか?という疑問だ。

ここで、前述の補間処理のために、1600×1200 以上の画素を使用することは十分考えられる。 但しそれは 1600×1200 画素の矩形に隣接する部分の画素で、せいぜい1万画素程度のように思われる。 200万画素機と表記したかったという背景もあるかもしれないにせよ、確証はないがこの10万画素分の差は、他のもっと小さい画素数の画像を得るために使用されていると思われる。

総画素数の211万画素と、有効画素数とされる202万画素との差は10万画素、あるいは画像の最大サイズの192万画素との差は20万画素である。 この10万ないしは20万画素、大きいとも小さいとも言える。 デジカメの機種毎にCCDの種類があるわけではないし、どの機種にもこの程度の差があるわけで、ここにそう目くじら立てている人はあまり居ないようである。

しかしデジカメ選びで重要なのは、CCDの総画素数ではなく有効画素数の方、もっと厳密には記録される画像のサイズ(この例では192万画素)の方なのである。 但しそこで、FinePix4700Z の432万画素のような水増し画素数を同列に扱うことが出来ないのは当然で、その意味では有効画素数を指標とした方が良いかもしれない。

DSC-F505V の有効画素数の話

ところがそこに、非常にややこしい機種が登場した。 SONY の DSC-F505V である。 このデジカメのCCDの総画素数は334万画素、有効画素数の方は262万画素で、その間に72万画素も差があるのだ。 そして、出力画素数は376万画素で、これについては、「独自のSRC技術」という、いわゆる水増し処理で 2240×1680 の376万画素を「忠実に出力する」と謳っている。

水増し処理抜きでのサイズは、2番目の画像サイズの 1856×1392 の約258万画素だと思われる。 262万画素と258万画素では僅かに差があり、これについては多くの機種と同様詳細は不明だが、有効画素数262万画素と言っている以上、334万画素あるCCDの受光素子のうち、少なくとも72万画素分はまったく使用していないわけである。

どうしてそんな無駄をしたのかという点では、おそらく200万画素クラスの従来機種 DSC-F505K のレンズや部品などをそのまま利用し、基本設計を変えないまま334万画素CCDを採用したからだと巷では信じられている。 私もその通りだろうと思う。

そして問題は、この DSC-F505V が、300万画素クラスのデジカメとして扱われていることだろう。 たしかにCCDの総画素数は300万画素を超えている。 しかし、使わない画素数を勘定に入れても無意味なのである。 しかも、その使わない画素数は72万画素もあり、有効画素数262万画素では、300万画素とかなりの開きがあるのだ。

一方、水増し出力画素数の376万画素の方を300万画素機の根拠とするとすれば、FinePix4700Z の場合と同じように詐欺的解釈となってしまう。

話が込み入り過ぎているせいか、あるいはそこそこの画質を得ているせいかわからないが、DSC-F505V に対する批判は FinePix4700Z の場合ほど目立っては見られない。

しかし、DSC-F505V は少なくとも本来の意味では300万画素機ではないのである。 但し、画素あたりの受光素子面積の狭さでは300万画素機と同じであり、抱えている問題だけは一緒である。

パソコンの資源の話 (読み飛ばし可)

話題の中心から離れすぎるのであまり書く気のする話題でないのだが、タイトルからしてこの話に触れないわけにはいかないだろう。 但し、パソコンへの画像受け渡しの方法については、まったく別の話題なのでここでは一切書かない。

家電量販店などで300万画素機を買おうとしたら、店員にパソコンの買い換えまで勧められた、あるいは、能力の高いパソコンが必要だと言われたが本当か?…というような話に良く出会うようになった。 それはある部分で本当かもしれないが、厳密にはそうとは言えないことが多いのではないか。

パソコンのことを書くつもりはないので簡単に触れるに留めるが、たとえば Windows マシンを使っているものとする。 その場合、パソコンの搭載メモリが少ないといろいろな不幸に出会うかもしれない。 たとえば、32MBしかメモリを積んでいないとすると、かなり危ない…たとえば頻繁にハングする…のではないだろうか。

ただ、それは使うソフト次第、特にそのソフト自体と Windows の品質による問題であることが多い。 64MBもメモリを積んでいれば、使用できるソフトを多少は制約されることはあっても、使えないことはないと言って良い。 また、ハードディスク容量が残り100MBしかない…というように、不足しすぎている場合にも、これはこれで速度的にも、その他の面でも重大な問題となり得る。

しかし現実には、速度的に耐えられるかどうかということが問題だ。 速度は、まず第一に使用するソフトの処理が重いか軽快かによるだろう。 そしてメモリ容量が不足しすぎていないこと、その次くらいにCPUの速さである。 そして大画像を扱うならば、メモリはかなり大量に積んであっても無駄にはならないだろう。

あとは本人の使い方次第。 一番ひっかかりそうなのは、画像を保存しておくハードディスクの容量とバックアップ手段になることが多いと予想されるが、撮った画像は特に気に入ったもの以外は見て終わり…という具合ならば、そんなことを気にする必要はないのである。

デジカメの画像の容量は、画素数が大きければ容量も大きくなるのは当然だが、それだけでなく、メーカーによっても選択する画質モードによってもかなり異なるものだ。 実際の画像ファイルの容量は、各メーカーのサイトにたいていなんらかの形で載っているので、それを調べると良い。

あとは自分の使い方を最も的確に予想できる筈の自分自身で考えるのが一番良いのである。 しかし、繰り返しになるが、撮った画像の多くを保存しておこうと思う人は、デジカメを日常的に使うようになれば遅かれ早かれハードディスク容量とバックアップ手段に頭を悩ますことになるだろう。 悩むのはその時でも遅くはないのではないだろうか。

小さい画像の方が扱いが楽なのは事実である。 パソコンの資源の制約のために小さな画素数で我慢する場合もないとは言えない。 しかしそれでも、普段は小さめの画像で済ませても、気合いを入れて撮りたい場合もある筈である。 いずれにしても、デジカメの撮影可能最大画素数と、パソコン資源のことを一般論として関連づけて考えようとしても実り少ないように思われる。

但しである。 水増し画素数に食われた容量のために、ハードディスクが圧迫されることがあるとすれば、それについてはどう感じるだろうか。

画素数が多ければいいってもんじゃない…のだけれども…

冒頭にも書いた通り、原則的には画素数は多いに越したことはないのだが、現実には画素数が多ければいいってもんじゃないのである。 その理由は、上記の諸々の事柄の通り。

また、銀塩カメラユーザの場合レンズを中心に考えてカメラ選びをするのが普通のようであるが、デジカメでも同様にレンズは重要な事柄のひとつである。 但し、レンズだけが圧倒的な選択要因にはならない。 当然、フィルムに相当するCCDもまた重要なわけだが、画素数と受光面積の話がCCDに関する唯一の注意点でもない。

そしてデジカメの場合、レンズやCCDの話に劣らず重要なのは、組み込まれているソフトウェアの出来具合である。 ソフトウェアは、操作性や動作速度などに影響しているばかりではなく、画質にも重要な関わりを持つなど、デジカメのありとあらゆる事柄に関係している。

結局、現在のところのデジカメ選びは、特定機種のなにかの特長にだけ惹かれて選択すると危ないのではないかと思う。 あくまでひとつの考え方に過ぎないが、想定する使用方法に対する弱点を極力避けるように機種を選ぶのが賢いのではないかと、私は思うのである。

もっとも、複数機種を使い分けようというのも考え方のひとつだ。 しかし、ただでさえ割高感のするデジカメのこと、それは余程デジカメにはまってしまった人達の話だろう。

ここに書いたCCDの画素数や画素あたりの面積の話などは、それぞれの角度から見て、各機種の仕様が自分にとって重大な欠点になるのか許容できるのか…を考えて貰うためのものである。 もとより、その点だけからデジカメ各機種の優劣が決まるわけではない。

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